静岡県三島に用事があってその帰りにちょっと立ち寄ってみたのですが、普通の町中に驚くほど水がきれいな川があるんです。
そもそもこの川は、江戸時代に寺尾源兵衛という地元の有力者が田んぼに水を引くために開削した人口の川、用水路です。水源は富士山の湧き水ですから、それは美しい水が流れる川だったようです。
しかし、その後時が移って昭和の時代。都市化・工業化の影響で湧き水が減少。生活排水が流れ込むようになって水質が悪化。源兵衛川は悪臭を放つドブ川になってしまったそうです。
そんな状態から、地元の市民の皆さんが故郷の原風景を取り戻そうと官民一体の取り組みを行い、2016年には「世界かんがい施設遺産」にも認定。現在のような美しい川へと変貌させました。
皆さんの町内にもあるような普通の川でありながら、川底の水草まではっきり見える高い透明度。周辺には草木が生い茂り、小魚が泳ぎ、野鳥が訪れ、子供たちが水遊びを楽しむ。町中に突然里山のせせらぎが出現したような不思議な世界です。
川と生活との距離がとても近く、「自分たちが取り戻した川だ」という地域の方々の川に対する愛情が感じられる素敵な場所でした。
思わず大人も童心に返ってしまう源兵衛川。私も散策がてら、あまりの暑さにちょっと足先を川に入れてみたら、一瞬で頭の先までシャキッとする水の冷たさ。一気に汗が引きました。暑い夏にぴったりのスポットです。

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